北海道のニセコは、今、世界的リゾートとして、極上のパウダースノーを求めてインバウンド観光客がたくさん訪れています。
投資も活発で、ニセコの好景気はまるでバブル期のよう。
しかし、地元住民はあまり恩恵を受けていないどころか、かえって住みづらくなっているのです。
スーパーに並ぶ「3万円のウニ」
ニセコ地域にある「マックスバリュ倶知安店」。
冬の観光シーズン中、ここには1折3万円超の北海道産生ウニや2万円超のタラバガニなど、高級食材がズラリと並びます。
しかし、店内の客の6割以上は外国人。
「アメリカより安くて品質も最高」と話す旅行者のかごには、なんと11万円超の食材も。
一方、地元の買い物客は「私には縁がないかな」と、高級食材を横目に見つめるだけ。
同じ町に暮らしながら、そこには大きな“経済的な隔たり”が存在しています。
「私たちの町じゃない」 地元住民の嘆き
倶知安町、ニセコ町、蘭越町からなるニセコ地域では、外国人宿泊客が2023年度に約74万人に達し、過去最多を更新。
最もにぎわう「ひらふ坂」周辺には、1戸10億円超のコンドミニアムや高級ホテルが立ち並び、土地価格は10年前の倍。
札幌の高級住宅地を上回るケースもあります。
「通りを歩くのは外国人ばかり。まるで別の国のよう」。
そして、このリゾート開発ブームは、地元の雇用にも影響を与えています。
人生の最期をこの町で終えたかったのに
倶知安町では2023年に2つの介護施設が人手不足により閉鎖。
求人を出しても5年間応募がゼロという深刻な状況です。
ニセコエリアの平均時給はひらふ地区では2000円超、英語ができれば2500円というケースもあり、東京を超える水準です。
しかしこの高賃金の影響で、介護や福祉など、地域を支える職種には人が集まらなくなってしまっているのです。
時給1000円台→介護職
ひらふのホテルのベッドメイキング→2000円台
どうしても、高い時給の方へ人は集まります。
介護職も時給を上げればいいのだけど、国の介護報酬で決められているので、簡単にはいきません。
この格差は、高齢者が望む「この町で最期まで暮らしたい」という願いさえも打ち砕いてしまっています。
生活に潜むリスクも増加中
人手不足に加えて、外国人観光客による交通トラブルも問題になっています。
冬季の交通事故は一冬で1024件にのぼり、そのうち約45%が外国人ドライバーによるもの。
雪道に不慣れで、スピードを出しすぎたり、対向車線を逆走するなどの事例が多発しています。
さらに、外国語で交信する違法無線の使用も確認されており、消防や航空機の通信への干渉が懸念されています。
インバウンドっていったい何?
世界の富裕層に愛されるリゾート地へと進化を遂げたニセコ。
しかし、そこに住む住民にとっては、恩恵どころか、今まであった当たり前の生活さえも出来なくなってしまっています。
お金をバンバン使える豊かな外国人と、そこに住む貧しい現地人のこの構図は、かつての植民地を彷彿させるのはどっ子だけでしょうか?
インバウンドとは何なのでしょう?
自国民の暮らしが豊かになってこそのインバウンドではないのかと思うのですが、皆さんはどう思いますか?
もう少しで来る参院選で重大な一つの争点は、移民問題やインバウンドなどの、入ってくる外国人に対する問題です。
この問題は、ニセコだけの問題では収まらなくなってきています。
私達は、一度立ち止まって考えなければならないと、どっ子は思っています。